イタリアのオペラ歌手〈故〉アドリアーノ・トッキョ師の神経刺激によるキューゾの発声法〈真声〉

写真、紅葉1 写真、紅葉2 写真、紅葉3 写真、紅葉4

 
 永遠に美しく

札幌芸術の森近郊から発信Gemito主幹橋本東峰

写真、あやめ

Gemitoㅡ体震動ㅡ

 

 

━━━━発声法のあらまし━━━
  
神経性発声・霊性を帯びる 

 
 
 
 

★奇跡の発声とは? 

 
◆神経刺激による衝撃ー興奮・痙攣
◆神経動力作用による反射
 
 武田式キューゾの発声は 、息が声帯を振動させるのではなく、神経刺激の衝撃による興奮・痙攣など、精神動力作用が声を支配するというもので、アドリアーノ・トッキョ先生がもっともやかましく言ったことは、「大脳新皮質から精神弧を描いて下腹を引き締め、骨盤神経叢〈陰阜と錐体筋・腹直筋〉を強力に刺激する」ということで、これを発声の始まりとする。
 
 
 

 〇論理のポイント?

 ◆横隔膜の腱性の中心を下降させ、拮抗を保持する。
 ◆声門を閉じる。
 ◆喉頭を下げ、ずり上げを防ぐ。
 ◆軟口蓋の平面化と懸擁垂のシワ寄せ。
 
 
 

〇発声技法のポイント?

 ◆腰の骨〈後腹〉を強く握って、中枢神経を刺激するのが発声の始まり。
 ◆胸声の支持で、ジェミトを出す。
 ◆頭声の支持で、共鳴腔を設定。
 ◆胸声の支持と頭声の支持の連携。 
 
 
 

〈要点解説で概要説明〉 
 

★芸術歌唱は【真声】で

武田哲宇先生の言葉

 芸術歌唱というのは、キューゾの発声でないと出来ません。いわゆる大口を開けて、開いた口で歌うのは芸術歌唱には向きません。だからそれは”ニセモノ”なんです。イタリア語は、ほとんど口を開ける必要はありません。
 そのことに、早く気づいていただきたい。〈武田哲宇〉
 「真声」とは、骨盤神経叢の刺激によって、声が喉を飛び越えて直接マスケラ・顔面で輝くように共鳴し、決して喉声にならない声をいう。
 

★声区の転換はない

 真声には声区の転換点はない。頭部と下腹部の副交感神経を同時に強く刺激し、精神動力作用による反射機能で声を支配するので、いわゆる声区の転換はない。
 

★発声技法の要点

A 胸声の支持〈60%〉

  横隔膜の腱性の中心を下降させ、その周辺の筋肉群の遠心的〈広げる〉保持は芸術歌唱の原点である。これによって、ジェミトが出る。 
 ジェミト〈体震動〉の語源はイタリア語で“震え声”をいうが、弛緩している横隔膜を下方へ下げ〈緊張〉ると、元へ戻ろうとするエネルギーが強く働き、これに対抗して緊張を持続させようと、その拮抗するエネルギーが震動を起こすのであるが、まさに不随筋である横隔膜との闘いであって、ジェミトが武田式キューゾの発声の勝負どころである。
 
 発声の始まりは、「大脳新皮質」から精神弧を描いて後腹〈腰骨〉を強く握る、握ると下腹が引かれ骨盤神経叢が刺激される。それに続けて、
 ◆後・側腹を左右下方へ張り出す
 ◆背中から前へ剣状突起部を押し出す
 ◆引かれている下腹をさらに引く
これが胸声の支持の基本となる動作です。
 
 この動作は、息を歯の隙間から“ハエッ・ハエッ・ハエッ”と吐き〈漏らす〉ながらリズミカルに何度も繰り返し、最後に息を“スーッ”と長く吐き切り、息がなくなってもその動作を続けていると、ジェミトが出てくる。息を長く吐くことによって副交感神経が強く刺激され、横隔膜の腱性の中心が下降する。
 

B 頭声の支持〈40%〉

  頭声の支持では共鳴腔を設定して、神経衝撃による反射作用で顔面(マスケラ)に声を共鳴させる。その技法としては、胸声の支持で骨盤神経叢の神経刺激で送られた糸のような細い本来音を、鼻下から斜め後上方へ引いて、蝶形骨洞から額で修正し、舌骨へ下ろして剣状突起部へ接続、実声にする。 

 

創 始 者

ご 紹 介
写真、武田哲宇

 

武田哲宇先生

ベルカント発見の旅・イタリアへ

声楽界に警鐘を

★経歴
 1934(昭和9)年2月8日大阪の徳庵で生まれ、国立大阪学芸大学平野分校2年課程を修了して10年間小学校教諭。その傍ら大阪音楽大学二部声楽専攻を終了し、浅野慈仁師に教諭を辞ずるまで10年間教えを受けた。
 
★ベルカント発見の旅・イタリアへ
 1967(昭和42)年7月28日横浜港からJTBのソ連旅行団の一員として出発、イタリア国立サンタ・チェチーリア音楽学校へ同年9月入校、元ローマ歌劇場一級ソプラノ歌手ペレア・ラッビア女史からソプラノ発声を習い、翌年7月25日修了試験合格。
 同校へ入学した9月から翌年4月まで、ローマRAI放送局専属ピアニスト、フェッラーリ師からベニアミーノ・ジーリの「吐く発声」を学び、1969(昭和44)年10月から翌1970年5月まで、アドリアーノ・トッキョ先生について、トッキョ先生が開発した“神経性発声・芸術歌唱法”を学ぶ。
 
★ベルカント研究所
  1970(昭和45)年5月帰国、アドリアーノ・トッキョ著『新しいベルカント「概論」』を翻訳して翌年大阪の徳庵にベルカント研究所を開設して後進を指導。
 
★音声声楽教育の改革を願う
  アドリアーノ・トッキョ先生の教えこそ、オペラやカンツォーネなど洋楽ばかりでなく童謡や歌謡曲(懐メロ)、また、声に携わるすべての人を「音声障害」から救える「奇跡の発声法」と確信。
 トッキョ先生32年間にわたる研究結果として “自然に話すように歌ってはならない”、これが警告だった。大声で太い声で歌うのは、百害あって一利なし
 
 骨盤神経叢から喉を飛び越えて、喉を離れて顔面(マスケラ)で輝く「真声」こそ、究極の理想とする歌声である。胸を高く上げて歌うソプラノ発声法は誤りで、我が国の研究者が一日も早くこの警告に耳を傾けて、声楽教育を根本的に見直し、一からやっていただきたい。
 
 イタリアのベルカントの名を知らない人はないでしょう。イタリア語で“美しい歌”という言葉で、柔らかく歌う歌唱法を表し、同時にイタリア人の美しい歌声を意味します。
 
★最後に
  特に東京音楽大学をはじめ多くの音楽大学の教育者や学生、そして歌に携わる人々に是非、武田式キューゾの発声法を学んでいただきたい。
 
 
 
 

 
写真、トッキョ先生

 

アドリアーノ・トッキョ先生

 神経動力作用の発声法

32年間探求

  武田哲宇先生が学んだ当時、トッキョ先生83歳。武田先生帰国後音信は途絶えたが、88歳までご存命であったと伝えられる。
 
 トッキョ先生は、トスカニーニ氏やメトロポリタン歌劇場の支配人から若くして美声と素質を認められ、奨学金が支給されて学んだ。ベニアミーノ・ジーリの代役としてオペラ『トスカ(ジャコモ・プッチーニ)』公演で連続11回出場しました。しかし、喉を傷めてわずか数年で主役を降りる羽目となって、悲劇のどん底に落ちたという。
 その後、美声を奪った原因の追及に乗り出し、スカラ座の舞台で当時発声の神様と異名をとっていたテノールの、アウレリアー・ペルティレに「どのように音声を発せねばならないか」と尋ねた。彼は「喉声で歌うな、それは嵐のfilo(線)を作ることだ」と、頭から恥骨までの長い線を描きながら答えた。
                           〈1933~1934〉
 この仕草が、「われわれにとって或る啓示になったのである」と、著書に明らかにされております。
 
 トッキョ先生は音声学・解剖学・生理学など、ありとあらゆる書物を読みあさり32年間にわたる研究の末、結論として喉を傷めて美声を失った原因は、「自然に話すように歌ったから」であると断定した。
 
 その間において、ジユセッペ・ディ・ステファーノ、リーノ・ペンノ、ボナートなどの歌手を輩出した。
 
 
 
写真、若きトッキョ

若きトッキョ先生

 
 
 
 

武田式キューゾの発声法の「経 典」

★イタリアのベルカント

本、表紙、ベルカント

アドリアーノ・トッキョ著
〈在庫なし〉

著書のタイトル

ADRIANO  TOCCHIO
IL
BEL  CANTO  ITARIANO
INSEGNATO  PRATICAMENTE  MEDIANTE  LE
LEGGI  FISIOLGICHE  DELLA  FONAZIONE
TRATTATO
Interessa  Maestri  di  canto  o  proff.Laringoialri
 
翻訳について
 武田先生が帰国後1年かけて翻訳したが、音声学・解剖学・生理学などの専門用語が多く難解なために直訳的になったと述懐していました。
 著書のタイトルは、「音声学の生理学的方法による実地指導」「声楽教師及び咽頭専門教授(喉などの専門家?)のための」概論と訳される。
 

ベルカント発見の旅

本の表紙、発見の旅

武田哲宇著

〈複製印刷在庫あり〉
 武田先生は、帰国後アドリアーノ・トッキョ著『新しいベルカント・概論』を翻訳し、その内容を習得するとともに直接指導を受けた経験をもとに、自ら探求された10年後、。1980(昭和55)年ごろ奥義を窮められました。
 
 そしてアドリアーノ・トッキョ先生の教えこそ発声の真理を説いていると確信し、その教えが単にわが国の声楽家に対する警告ばかりでなく、全世界のオペラ歌手に当てはまることに気づき、2000(平成12)年9月1日『ベルカント発見の旅』を刊行されました。

武田式発声法誕生秘話

本の表紙、誕生秘話

武田哲宇著
〈在庫十数冊〉

著書のあとがきから

 この本は、1967~1970年までのイタリア留学時に、著者が体験した声楽事情を中心に記したものである。武田式発声法が生まれた訳を是非書き残す必要があったからだ。
 
 イタリアでは、とくにアウレリアー・ペルティレ氏やベニヤミーノ・ジーリ氏の後、オペラ界には立派な指導者がおられないと見え、私が留学した1967年には有名歌手たちの歌声がみんな傷んでいた。まだ、傷んでいない歌手は首を曲げながら“おかしいなあ”と、眉をしかめて歌いにくそうであった。 それは、胸を高く上げて歌うソプラノ式発声法であった。一体誰が教えたのか?そういう著者も担任の先生が女性のソプラノの先生と来ては文句も言えない! 
 
 天は我を見捨て給わず友人の勧めでローマ放送局の専属ピアニスト、フェッラーリ先生からジーリの吐く発声を教えられた。先生の四六時中、額で輝く強い声で「ハエッ・ハエッ・ハエッ」と吐くレッスンが続き、真似しろと言われてもちょっとやそっとで真似は出来ない。武田式発声法は、この強い声に対抗して声嗄れを防ぐ目的で工夫した。これが武田式初級の形だが、結局お釈迦様の「泡の軌跡」 に教えられたのが上級である。
 

泡の軌跡とは

 武田式発声法の内容に踏み込みますが、武田先生が述べていることをご紹介します。
 
  般若心経を唱えて2年、いつもは鼻梁で遮られて上に抜けないお経を唱えている私の声が目の前に泡となって現れ、そのままどんどん上へあがっては消える。気づかないうちに上半身から力が抜け、顎からも力が抜けて唱えている般若心経の声が額で明るく輝いている。下半身の徹底訓練で筋肉が付き、実はその反作用で上半身や顎からすでに力が抜けていたことをお釈迦様が、泡の軌跡で知らせてくださった。
 
 その日以来、立ち姿でも喉を離れた声で、いつでもどこでも自由自在に歌えるようになった。これが、武田式発声法「上級」の形で、立ったまま歌声が丹田から喉を飛び越え、直接額の共鳴空で明るく輝き、美しい響きでメッサ・ディ・ヴォーチェ(最弱音から最強音に至り、逆に最強音から最弱音に至る歌い方)を自由自在に操って、「芸術歌唱」をいつでもどこでも楽々と出来るようになれば、「上級の完成」である。 

指導作法

本の表紙、指導作法
 橋本東峰著

〈自家製本あり〉

 経典は『ベルカント発見の旅』

武田先生が説明する動作の実践法

  武田哲宇先生はベルカント研究所を立ち上げて音大生や歌手、大学教授など多数の方を指導したが、武田式発声法をまともに習得できた人はおられなかった。
 
 なぜならばアドリアーノ・トッキョ先生の発声法は、神経刺激による反射作用で一般に行われている発声とは全く次元を異にしていること。さらには武田先生がフェッラーリ先生の吐く発声に耐えるために考案した筋肉トレーニングによる独自の発声技法を重ねたもので、体震動〈ジェミト〉を出す発声は至難を極めるものであったと考えられる。
 
 アドリアーノ・トッキョ先生が苦心しながら32年の歳月をかけて開発した本物の発声法。武田哲宇先生が、足のしたから湧き出るような歌声を発見するために、血のにじむような思いでイタリアへ旅立ち、留学で得た奇跡の発声法まことに貴重なものであります。
 両先生が、まさに命がけの人生をかけ、成就したこのキューゾの発声法を「幻の発声法」にしてはならない。歌手たちの幸せのためにも、また、多くの人が習得できるよう、そして武田哲宇先生が目指した「声楽界の根本的改革」の動機づけがで出来るよう願って、武田式キューゾの発声法が容易に習得できるよう道案内をするものです。
 
 文明の世の今日においても人体の神経の流れとその機能は、四つ足の原始人と何ら変っていないことをモノの本で知り、そこで横隔膜など発声に関する体の状態を精査し、また、トッキョ先生の本の翻訳書に発声技法として遠心・求心という言葉が方々にみられ、武田先生も動対反動・重力などの自然の原理を口にしておりました。
 そのようなことがあって、陰と陽〈裏表〉・動対反動・求心と遠心・虚と実・引けば押せるという原理をもとに、体の操作を“テコ”で行うことを実践してジェミトを出すことを覚え、奥義を窮めることが出来ました。
 
 武田式キューゾの発声法の経典は『ベルカント発見の旅』ですが、武田先生から実践指導が受けられない現状では、これを体現することは至難というよりも、むしろ成就することは難しのではないかと思われます。
 したがって、ジェミトを出す技法などを理論ではなく感覚的に、そして実践から閃いたことなどを中心に、自然の原理から導き出した独自の手法を「指導作法」として作成しました。
  
 指導作法には、『ベルカント発見の旅』の記述を要約してポイントを示し、その技法を学ぶコツを記述しましたが、足りないところは実技によって補うこととします。
 
 

 

組織・指導体制

声楽 Gemito 主幹のご挨拶

写真、橋本東峰
 
 

武田式キューゾの発声法/初代継嗣

橋 本 東 峰
 
 

発声は“頭蓋共鳴” 発想転換を! 

 2000〈平成12〉年2月8日、奇しくも武田哲宇先生の生誕日に神戸市長田区の「ベルカント研究所」を訪ねてレッスンを受け、胸声の支持でジェミトを出すことが最大の課題、そのためには歩いて足腰を鍛えるよう指導を受け、それからというもの、小高い裏山を「鶯の里」と称して、ほぼ365日毎朝雨の日も吹雪の日も筋トレをやりました。
 年に2回ほど実技指導を受けたほかメールや手紙・電話などで学びましたが、先生は2年後体調を崩して入退院を繰り返し、施設に入って療養しておりましたので、大阪へ行った時はジェミトを出す指導も受けましたが、イタリア留学中のお話やトッキョ先生から受けた指導内容などの詳細をたくさんお話して下さり、非常に興味深く指導を受けました。

2006〈平成18〉年7月23日〈日〉神戸市西区櫨谷町の養護老人ホームで指導を受けた折、「これまでトッキョ先生亡き後、私が世界一を継いできましたが、もし私に何かがあったら先生が私の後をお嗣ぎになってください」と言って、トッキョ著『新しいベルカント「概論」』と、これを翻訳した大学ノート原本を授けられました。
 この時点で、すでにジェミトは自在に出せたのですが、体各部の連携や内面の動きが全く分らなかったので、胸声の支持の動作の模範演技をしていただきました。しかし、十分な理解を得られないままお別れしたのですが、この時強調されたことは、「芸術歌唱はキューゾの声でないと出来ません。大口を開けて歌うのはニセモノなんです。それが分かると日本一やもうすぐお分かりになるでしょう」と。
 それからも施設を訪問し、また手紙や電話で指導を受け、お陰で「ウン・出来た」という先生の喜びの言葉をいただくことが出来ました。しかし、その後10日位経った2009(平成21)年1月22日、先生は他界されました。
 
 口蓋に声の当たりを設定する一般のアペルト唱法は「口蓋共鳴」で喉声になりますが、完全なる「頭蓋共鳴」ですから武田式キューゾの発声は喉声にはなりません。霊性を帯び、歌う本人が感動し柔軟にして楽に歌え、そして人の心をとらえることができます。
 
 プロの歌手も発想を転換すれば容易に習得できると思われます。喉を使わないので、絶対に喉を傷めることがなく、また力むこともなく、柔軟にしてリズミカルに芸術歌唱が出来ますから、歌い手の幸せのためにもお勧めします
 
 ジェミトを出すことは肉体の健康にもよく、発音が明瞭になり人の品性を高め、芸術性向上のためにも、この武田式キューゾの発声法の宣伝と指導に努めてまいります。
 

 

洋楽部初代継嗣

ご挨拶

 
 

写真、花、ヨウシャク
只今準備中!

 

東京都小平市 声楽家 鳥海 寮

 
 
 
 
 
 

自己紹介

 
 
 
 
 

コメント

 

組 織

 

 声楽 Gemito

武田式キューゾの発声法指導本部

005-0853 札幌市南区常盤3条2丁目3番16号
Tel/Fax 011-592ー0056
携 帯  090-8909-7194
e-mail  :  h_toho@nifty.com.jp
 
 

全国研究会

 
武田式キューゾの発声法 全国研究会
都市名   研究会名 会長名  分野  連絡 
東京都  小平研究会  鳥海 寮  声楽家・演奏家   
  世田谷研究会   パリ中山 ギター平成流し組合代表   
  品川研究会  荒井精水  岳精流日本吟院・吟詠家   
   江戸川研究会 佐藤正義  精修流・ 吟詠家  
  羽村研究会  佐々木精穂  吟詠家   
埼玉県  富士研究会  吉田峯男  ギター研究ねずみの会主催   
神奈川  藤沢研究会  山本みどり  Oase〈オアーゼ〉代表・心理士   
  三浦研究会  長谷川煌研  吟詠家 煌研会会長  
大分県 大分研究会  矢野凱霊  淡窓伝光霊流・吟詠家   
札幌市  北区研究会   斎藤興峰 東峰流・吟詠家   
  白石研究会  馬場正鵬  朝翠流・吟詠家   
千歳市   千歳研究会  横山郭峰 東峰流・吟詠家   
         

指導体制 

 

★指導所

本部道場
 

★指導方法

 

〇実地指導

本部道場で、希望により個人指導・合同指導
出張して講習会・講演会
 

 〇遠隔指導

メール・電話・ZOOM・ブログ・YouTube
 

〇教材利用

経典・指導作法・DVD
 
 

 
 

HOME

要点解説

発声法の常識にないことも含めて、一般の発声や歌唱にも参考になれば幸いと思います

★頭蓋共鳴

発想の転換を

 武田式キューゾの発声法は、完全なる頭蓋共鳴です。アペルト発声方式は「口蓋共鳴」ですから、発想を転換して習慣化している口蓋発声の感覚を完全に捨てられれば、習得は意外と容易ではないかと思われます。
 
 参考までですが、ベルカント唱法のパッサッジョの技法は、口蓋に声の当たりを設定していたものを頭蓋共鳴に切り替えることだと思いますが、発想を転換出来れば意外な結果を見ることが予想されます。
 
 武田式キューゾの発声は、体の部分でなく全身の筋肉群を総動員してジェミトを成し遂げ、最低音から最高音部までの全音域を頭蓋共鳴で一貫し、全身を柔らかく使って体の芯から声が出せるようになります。
  

★四つ足の生き物に学ぶ

常識では考えられないが、間違いでもないでしょう

 腹式呼吸は難しいですが、人が横になって休む時は複式呼吸になっているから寝ることがで出来る、これは皆さんお分かりです。歌は、“横隔膜とのたたかい”といわれますが、横隔膜の腱性の中心がつり釣鐘状に盛り上がって〈弛緩して〉いるのを平たくする〈緊張させる〉ことが発声上理想なんですが、不随意筋のた自由に動かせません。しかし、弛緩している横隔膜は寝るときは緊張するから複式吸気になる。
 
 四つ足の原始人類から進化して、二本の足で行動する現代人の神経の流れや機能は、動物と何ら変わらない、同じだというのです。したがって、立位の生体には何かと不都合があって、肉体に負担がかかり病気になるという。“動物は病気で死ぬことはない。人も四つ足の生き物に見習うべきところがある”というようなことを書物で知り得た。そのょうなことから、横隔膜のことや動物の鳴き声などに関して考え、横になったり四つん這いになったり、体を丸めたり伸ばしたり、いろいろと実験を試みました。
 
 動物の胴体は横になっているから、臓器が肺の方へ移動するエネルギーは働かない。したがって、横隔膜が弛緩することなく緊張状態で拮抗していると考えられます。人体も床に両膝と両腕を伸ばして雑巾がけをするような体形になって、力まずにゆったりとしてみると、胴体は前後に伸びて重力と引力で床の方へ垂れ、尻が肩と引き合って下腹は引かれます。
 四肢には均等に重力が加わり、左右の両肩にも立位の時に感じられない負荷がかかりますが、頭を上げ顔面を正面に向けて声を出してみると、声が口から出るのではなく、楽々と頭で響きます。それは、生き物のように胴体を横にすると横隔膜が拮抗し、さらには尻〈腰〉や肩・胴体の重力が働いて、これが支えとなり、また、尻と肩や頭が引き合いになっていることが感じ取れます。
 
 四つ足の生き物と人体の神経系統が同じということからすれば、人が立位の時は、本来伸びていなければならない体が重力や引力が働いて圧縮され、横隔膜は下降する肺臓を支えあげるために弛緩する。
 発声上の問題は、横隔膜の弛緩と発声に関連する筋肉群の萎縮にあると思われます。
 
 横隔膜の下降が芸術歌唱にとって最も大事なことであるから、人体を四つ足の生き物のような構造に近づける方法が、即発声技法といっても過言ではないといように思えます。横隔膜を意志でもって直接緊張させることが出来なことから、横隔膜に接続するところの〈脳脊髄神経支配によって〉意思で動かせる筋肉を総動員させるわけです。つまり、腸腰筋や腸骨筋、その他胸郭にある呼吸筋や足腰などに働きかけること、それ等のことが「胸声の支持」の動作〈トレーニング法〉になるのだと思われます。
 
 ジェミトを出すための「胸声の支持」の動作は、腰に力をこめて握り、中枢神経を強力に刺激して〈この刺激で、下腹が引き締められ骨盤神経叢を強く刺激する〉後・側腹を左右下方へ張り出す。そして、同時に背中から剣状突起部を前へ押します。そのメカニズムは、頭から足の先まで四つ足の生き物のように体をの伸ばして遠心と求心の同時進行、つまり、体を引き締め絞りながら一方では逆に押し広げ、また引き合い張り合う動作です。そのように体各部全体の連携動作によって横隔幕を緊張させ、かつ、拮抗状態を保持しジェミトを出すのです。
  

★キューゾの意義と「真声」

動物のように胴体を伸ばす

 武田式発声法で「キューゾ」とは、声帯を閉じることを意味します。骨盤神経叢を強く刺激して横隔膜を緊張させることによって、喉頭前部の甲状軟骨側の声帯が前へ引かれ〈この表現が適切かどうかわからないがと、トッキョ先生はいう〉、もう一方の披裂軟骨側は披裂筋で披裂軟骨を内転させて結合させ、声帯を前後に引き合うようにして声門を閉じます。
 通常、喉頭後部の披裂軟骨の部分はv字型になって開いているものを、披裂筋で内転させて声帯の後部も完全に閉じるということが、キューゾという意味の特殊性だと思われます。
 
 神経的に引っ張って閉じられた声帯を、丁度細いが力強い気流が通って、声帯を全振動させる〈声帯を神経的に振動させるのであるが、音声学をもとにこれを裏付ける能力はないと、トッキョ先生は言ったそうです〉。
 
 喉を絶対に直接使わないで言葉も声の響きも全てマスケラ〈顔面〉に納めますが、そのためには「真声」を習得しなければなりません。それは単なる「鼻腔共鳴」ではなく、声は細いが芯があって強烈な輝きを放ち正しいヴィラツィオーネ〈振動〉を持っていなければなりません。
 芸術歌唱歌唱というものは、頭声の支持が胸声の支持と連携し、キューゾの発声の「真声」をもって、初めてできるというものです。
 
 武田式発声法は、神経性発声と同時に「キューゾ」の発声であり、 アドリアーノ・トッキョ先生が創造したものですから、正式には「アドリアーノ・トッキョ伝武田式キューゾの発声法」としますが、通称は武田式発声法でよいと思います。
 
 考えますと、四つ足の生き物は胴体が伸びて、“おしぼり”を絞るように、前後・左右・上下から体の芯へ向けて圧力や重力が働いています。本当のところはわかりませんが、犬の遠吠えやロバのいななきなどはどうでしょうか。
 武田式キューゾの発声でジェミトを出すとき、そして歌う時は背中を引いて剣状突起部を前方へ押し、絞られた芯を広げるように感じられます。
   

 ★訓練は強力に、歌唱は柔軟に

神経回路を創造するために

 武田式キューゾの発声法のトレーニングでは、ジェミトを出す胸声の支持の動作が主となります。その場合の基本的な動作は、歌唱時もほとんど同じですが歌唱時は全く力まないで体を柔軟に使い、トレーニング時は強力になります。これまで眠っている体各部の筋肉や筋を目覚めさせ、そして連携して働くようにするために神経回路を創造し、体の全細胞を総動員して強力に働きかけなければなりません。道なきところへ道を拓くのですから、当然最初は荒々しくなければなりません。
 
 重ねて言いますが胸声の支持のトレーニングは、重力や引力によって肺臓が内蔵の方へ落ちないよう強力に上へ支え上げるため、腱性の中心が釣鐘のように盛り上がっている横隔膜を上から押し、下から引っ張り、さらには前後左右から求心的に、また遠心的な圧力をかけて平たくするわけです〈緊張〉。緊張した横隔膜が強力に元の釣り鐘上に戻ろうとするのを抑止するのですから、総動員をかけた筋肉群が油断しないよう、さらに支えを続ける努力をしなければなりません。このようにして、横隔膜の拮抗状態を維持するために、訓練時においては力を必要とするのです。 
 
 最初は大変ですが神経回路が創造出来、体の使い方が分かるとほんのわずかな意識だけで体各部の筋群が機能して横隔膜が緊張し、ジェミトが出るようになります。つまり、歌うための楽器の形が容易に出来上がります。楽器はすぐガタガタに崩れますが修練を重ねると、最初のように力まないでわずかな意識だけで直ち楽器が蘇生、形成されます。歌うときも、わずかな意識をすることで横隔膜を緊張させ、ジェミトが出て歌えます。

   ★声は腰で、面でなく点で操る

口の開閉で歌わない

  歌は、口の開閉で歌うのではなく、腰でコントロールして歌います。口の開閉は、その結果と考えます。イタリア語は母音が主ですからほとんど口はを開けないで歌えますが、日本語は子音中心ですからイタリア語で歌うよりは開くでしょう。
 
 腰というのはどこでしょうか?ジェミトを出す胸声の支持で最初に後腹を握って中枢神経を刺激しますが、その位置はオヘソの反対側と考えればよく仙骨と腰椎の間あたりで、上体を前後するために動くところ、その辺を腰と考えます。これも、その時々において微妙に働きが異なりますから、少々の幅を持たせることが必要です。
 大事なことは、体の手足と首は部分として動かせますが、胴体や骨盤は部分的に動かせません。腰や背中・仙骨・尾てい骨などを使う場合は関連して全体が連動しますが、必要な体のポイントを点で意識して操作をします。例えば、腰も面ではなく腰椎のある一点を意識して握る、そして神経を刺激しあるいは声を操ります。 体のポイントを面で捉えると、意識が集中しません。
 
 ジェミトを出すのも歌を歌うときもテコの原理を使って体を操作します。テコは、力点・支店・作用点の三つですが、動作を起こす力点に意識を集中し、他は敢えて意識しない。例えば、胸声の支持で後腹に最大の意識を置きますが、背中を引く力は従たるもので、剣状突起部の支えは結果として感じる程度です。その辺は、いわゆる実と虚の世界で微妙です。
 これらは、解説書『指導作法』で詳細にわたって説明しております。
 
 

★下腹〈丹田〉と胸郭は反比例の関係

丹田筋を使って歌うのは?

 
 丹田は、「第二脳」と呼ばれるように神妙な働きがあり、歌も丹田を使って歌うというのが常識のようですが、その場合は局部的に丹田筋に圧を加えるのではなく、腰を引いて胴体を伸ばすと胸郭が張り、連動して下腹・丹田が凹むことを知るべきでしょう。これは、すでに述べたように横隔膜に関連する筋肉群を総動員し、連携して機能させることが望ましいからです。
 
 訓練を重ねると、〈金の延べ棒をイメージして〉丹田筋を上下に動かすことが出来、そうなると歌も丹田筋を操って歌うことが出来ますが、発声に必要な他の筋肉群が応援してくれませんから、独力では“裏うち”された安定的歌唱は出来ません。必ずどこかに無理りがかかります。
 
 

★呼吸に関して

呼気と吸気は使い分ける

 発声の説明で、一般に呼吸という熟語をもって語られますが、それは発声を学ぶ上において正確に欠けると思われ、極端ですが正しく発声を学ぶ上で障害になりますので、個々に呼気と吸気は区別して使い、発声というものを正確に知るべきでしょう。
 
 歌唱において、吸気は発声の技法と両輪のごとく重要な意味を有します。たとえ発声の技法が出来たとしても、吸気法が間違っていると歌をうまく歌うことが出来ません。
 
 声を息に乗せるという考え方もありますが、息を吐いては声になりません。
そこで、呼気と声はどのような関係にあるのか、吸気した空気がどのようにして、どこから体外に排出されるかを、武田式キューゾの発声で確認してみました。体を上下に伸し、“おしぼり”を絞るように前後左右から体の内部へ向けて圧をかけて声を出すと、声は頭で響きますが空気はどこから排出しているのか、ほとんど分かりません。手のひらを口と鼻にかざしてみると、ほんのわずかに温かみが感じられる程度で、それが空気であるとは思えない程度のものです。
  そのことから、声は吐く息に乗せて発するというものではないことはわかります。しかし、声を出している時に吸った空気が気流として体外に排出されているので、呼気は発声に属するということは否定できません。しかし、呼気即発声とはなりません。
 そういうことから考えて、もし「呼気法」というものがあるとすれば、それは即発声法であると考えるべきであり、したがって発声や歌唱において「呼吸」という熟語は正しい用法ではないと心得るべきと思います。
 
 

★神経刺激は骨で、骨から声を出す

筋肉を直接刺激しないで間接支配

 一般に丹田筋に力を加えるように言われますが、神経性発声では中枢神経の通る背骨の腰の部分に力をこめて握ります。そうすると下腹が引かれ骨盤神経叢〈陰阜・錐体筋・腹直筋〉が強く刺激されます。丹田筋や骨盤神経叢を直接刺激しても、末梢神経・迷走神経ですから中枢神経に比較して刺激は弱く、また、部分的一方的に筋肉に力をこめると、余計なところに力みが加わりバランスを崩します。
 なぜならば、体の前面は陰で背面は陽です。前面の丹田筋を使っても背面の支えが全く得られません。発声では、中枢神経が通る体の背面を使うことが先決、それが第一と考えます。その結果、体の前面が機能してくれるという仕組みです。つまり、それは陰陽のバランスであり、支えが働くからです。 
 ジェミトを出す胸声の支持においても、腰骨、後・側腹、背中というように、すべて陽である背面が主力になっていることからも、お分かりいただけるでしょう。
 
 そしてもう一つ、歌うときは声の支えが必要です。支えというのは、上部にある物が下へ落ちないように持ち上げることを指しますが、例えば声が10キログラムと仮定すれば、声を出すにはそれ相当のエネルギー、すなわち圧力とも一面「力」というものが必要です。その圧は、筋肉ではなく骨にかけるということが非常に大事です。骨には神経が通っており、骨に圧をかけることで神経が刺激され、体の一部分に余計な力が働かず、バランスよく間接的に発声に関する筋群が機能してくれます。
 
 声の支えは「胸骨」です。胸骨の最下部は「剣状突起」で、その辺を「剣状突起部」と言い、声の支えは原則として剣状突起部にあります。しかし、人の感覚は同じではありませんし、胸声の支持と頭声の支持の連携や体の操作も流動的で常に変化しますから、剣状突起部を支えの基本としながらも、感覚的に胸骨のポイントを移動することもあります。
 
 そこで大事なことは、ジェミトを出す場合も歌うと時も、弓を射るように背中を引くと「動対反動」という原理が働き、引くエネルギーの反発で剣状突起部が前方へ張り出します。間接的に胸郭に圧がかかりますから、剣状突起部か胸骨の一点を意識して歌います。これが声の支えというものです。
 
 武田式キューキューゾの発声法は、テコの原理を応用して体を前後・上下・左右に引き合い張り合って体を細く絞るようなイメージです。
 弓を射る動作と機能には深い意味があります。「頭声の支持」は複雑なので省きますが、背中を引くときは首筋を伸ばすようにして顎を剣状突起部へ接近させ、頭を前傾します。すると、腰から胴体にかけてさ更に絞りがかり、胸郭がより張って圧がかかります。さらに背中を引くと剣状突起部の支えがより強く感じられます。極端に言うと、この動作を一音一音を発するごとに使います。体に収縮と拡張という相反するエネルギーが同時に働いて、それが声の支えとなって安定した声が発声られるわけです。
 
 これは、アリアを回すといいう技法によるものですが、丁度拳を手前に引いて回転させるようなイメージです。顎を剣状突起部へ接近させるというのは、頭声の支持で声を鼻下から後頭部の斜め後ろ上方へ引いて、蝶形骨洞から額で声を修する。そして修正した声を舌骨から剣状突起部へつなぐ、そして剣状突起部を支えとして歌うということになります。
 
 これが神経刺激、精神動力作用による発声法で、喉も口も使わず気が骨盤神経叢から飛んで頭の共鳴腔に当たって反射し、マスケラ〈顔面〉で輝くように響き声が前方遠くへ飛んでいく。まさに、横隔膜震動がつき「霊性」を帯びた声が発声られるのです。
 
 
 

スライドショー

埼玉県富士市での第二回講習会風景

img_0155.jpg img_0162.jpg img_0165.jpg img_0148.jpg img_0146.jpg img_0158.jpg img_0164.jpg img_0156.jpg img_0154.jpg img_0153.jpg img_0147.jpg img_0149.jpg
 
 

第一回東京講習会アルバム

写真、荒井先生

 

 
写真、橋本東峰

 

 
写真、指導風景

 

ギター演奏、吉田先生

 

 
 

 

 

 
リンクボタン、ブログ

リンクボタン、YouTube
リンクボタン、写真

 

 

 

Copyright◯◯◯◯◯. All Rights Reserved.